佐藤可士和の超整理術
- 作者: 佐藤可士和
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
- 発売日: 2007/09/15
- メディア: 単行本
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個人的にはあまり整理は得意ではない。効率をよくする方法には関心があるけれど、捨てるのが苦手だ。「とりあえず取っておく」呪縛からはなかなか逃れられない。
この手の本は野口悠紀雄の「超」整理法が有名だが、野口氏の本は方法論に特化しているのに対して、佐藤氏の本はアートディレクターと言う仕事の立場から、本質を抽出していくプロセスにおける無駄なものをそぎ落とす作業を紹介したもの。したがってそれぞれのケースは一般人がまねできるものではないが、アートディレクターと言う職業に対するイメージを覆すに十分だった。
芸術系のキャリアを持つ人の仕事は、何か大きなこだわりがあって、表現するもので顧客を圧倒させていくと言うのが、一般的なイメージではないかと思う。しかしこの本によると、アートディレクターはドクターであり、問診を繰り返して問題の本質に迫るのだと言う。状況を把握し、視点を導入して課題を見つける、という整理のプロセスは他の分野でも応用がきくだろう。むしろこういう思想自体は古今東西多くの人に言われてきたことなので、それぞれの人がどうやっているのかに興味がある。
デスク周りの整理やPCのファイルのつけ方のノウハウなどは、それほど特筆すべきものではない。むしろキリンの極生、国立新美術館、ユニクロのUTなど、デザインと言うアウトプットでどのように整理されたものが出てきたのかと言うのが面白い。この本そのものも、言葉の無駄がそぎ落とされた感じで読みやすい。