アメリカの高校生が学ぶ経済学
- 作者: ゲーリーE.クレイトン,大和総研教育事業部,大和証券商品企画部
- 出版社/メーカー: WAVE出版
- 発売日: 2005/09/15
- メディア: 単行本
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高校生向けということで、かなりやさしく書いているのかと思いきや、数式こそそれほど用いていないものの内容は標準的。日本の大学1,2年生向けのテキストとしても十分使えるんじゃないかな。ミクロ経済学が80ページ、マクロ経済学が156ページと、ほぼ倍。国際経済学が64ページ。全部で18章なので、1年間の講義のテキストとして使うには量が多すぎるかも。アメリカの高校生はこれを何年間で学ぶのだろう???
例が高校生の身近なものになっていること、アメリカの自国の経済システムを基本に説明をしていることは当然だが、アメリカが採用している資本主義、市場経済が他の経済システムに比べて優れている、ということを折に触れて強調している。各部の最初に「経済学の考え方を日常生活に適用する」とか、各章の最後に「クリティカルシンキング」という発展的な考察を促したりとかするのは、教科書的。
ミクロ経済学では価格が市場でどのように決まるかのメカニズムだけに焦点を絞って詳しく解説。マクロ経済学では課税、金融政策、財政政策などを通して、経済システムをいかにコントロールするか、特にFRBの役割について重点的に説明している。投資では株式、先物だけでなくオプションまでも説明。経済的安定を実現するための政治や法律の役割などにもページを割いている。
経済学を意思決定のためのツールである、ということを基本に考えているというのが日本の高校生向けの教科書とは違うところかな。